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辰巳芳子さんのスープ

こんなにも胸が温かくなり、そして色々なことを問いかけられる映画は久しぶりでした。料理研究家の辰巳芳子さんのドキュメンタリー映画『天のしずく~いのちのスープ~』。恵比寿の写真美術館で上映最終日に走込みで見てきました。 http://www.tennoshizuku.com/ 上映していた2時間を通して、涙が止まらなくなり、大きな大きな愛に包まれる感じ。 温かいポタージュ・ボン・ファム(後でご説明します)の中に身を投じ、外のあらゆるものより守られている感覚。久しぶりに自分と向き合うことができました。 辰巳さんは鎌倉のご自宅で料理教室を開いていらっしゃり、執筆活動もされている御年88歳の現役料理研究家です。 上品で、言葉に説得力があり、穏やか、そしてお元気な方。 教室ではスープや汁物を教えていらっしゃっており映画で紹介されたのは、玄米スープ、小松菜とあさりのポタージュ、けんちん汁、人参のポタージュ。 そして、ポタージュ・ボン・ファム。 ボン・ファムとはフランス語で「よい情勢」という意味とのこと。なので、子供から大人まで万人が万事でいただけるポタージュがそう呼ばれているそうです。 辰巳さんご自身、お父様が闘病中に病室に持っていかれて亡くなられる直前まで食べさせてらっしゃったスープです。 冷たい鍋に玉ねぎを入れオリーブオイルを入れ、じっくり痛めて玉ねぎの角をとる。そして、人参やセロリやじゃがいも等を入れ丁寧に丁寧に炒めていきます。そして野菜をチキンブイヨンスープとローリエを入れて煮込み、牛乳をいれ、ミキサーにかけポタージュに。とても基本的な行程を、でもとてもとても丁寧に。自分にはスープを作ることしかできないけど、飲める限りはまだ命がそこに存在している。そういう気持ちでスープを作り続けられたそうです。 私自身料理は昔から好きでよくしていたのですが、「生」意識して作るようになったきっかけは、20代中盤に両親が海外駐在をしてた時、当時一緒に同居していた祖父に元気に長生きしてもらいたいとい願いからでした。幸いあの時から数年達ち、祖父は御年94歳。今は一緒に住んでいないのでなかなか食事を作ったり、同じ食卓を囲むことも少なくなってしまったけど、あの時自分が作ったものが、少なくとも祖父の今の血となり骨となり肉となり、こうして今も元気でいてくれているのかな、なんておこがましいですがちょっと思ったりしました。 「湯気の向こうに命を繋ぐ。」 劇中、こんな言葉がありました。 神様でもないし、医者でもないし、政治家でもない私が、人の、自分の大切な人の命のために料理をするという行為は本当些細なことでしかないけど、でも想いをこめて、願いをこめて料理をすることは人の生にとって必ず意味があることなんだなと。やはり料理は、思いやり。誰かのために、誰かの生のために作っていきたい。そういう根本を思い出しました。 数年前から是非彼女の教室に行って、そのスープの中に、具材以外に彼女は何を込めて作っているか知りたくて知りたくてしょうがありませんでした。ただ生憎、新規生徒は募集をしていないとのことでした。しかし、この映画を通してたくさんのことを感じることができました。 見に行ってよかったー! kitcheneri